2011年4月3日日曜日

全摘後のPSA再発!56.8%非癌、33.5%遠隔転移、9.7%領域転移。(前立腺癌)

2001年 Johns Hopkins experience においてロンタム(15年間)前立腺がんPSA再発調査を発表した。調査対象は病期 T1 T2 T3 の計2404人である。


ここではPSA再発とされた患者の転移及び病勢を明らかにすると同時に、15年後のPSA再発が34%(PSAのみも含め)とかなりの高率な数値をも発表している。が、それにも増して驚かされるのはPSA再発としながら、実に半数以上に癌がなかった事である。

前回『全摘後のPSA再発は約半数でその60%以上は非転移もしくは非がんである。』の調査(JAMA/281巻,17号)では63%を非癌としたが、今回も有意に差が認められない。

PSA再発とされた患者(412人)の調査結果は以下の通りである。

NED(無病=癌がない)56.7%=234人 

領域転移(局所再発:リンパ節への転移)9.7%=40人(サンプル数2404人では1.6%)

遠隔転移(肝臓、肺等、大半は骨)33.5%=138人(サンプル数2404人では5.76%)


本文の要約としては
『大規模な前立腺全摘後の予後調査をしたものは他には少ないが成績は他の報告と大きな差はなし.根治的前立腺摘除術はこの成績をみても限局前立腺癌には有効であり術後のf/uにはPSA,DREが有効である.』としている。

つまり、『PSA再発がきたしても癌が無いと言う事は、根治的前立腺摘除術はそれだけ有効であることの証明になっている。』と言っているのだが、PSA再発(仮想的再発)で施設によってはホルモンや放射線の治療対象とされ、大いに困るのは患者である事も言っておきたい。



Notes
領域転移=原文では〔局所再発〕となっていましたが、リンパ転移なので領域としました。
f/u =フォローアップ
DRE=触診

参考
日泌会・厚生科学研究班編/医療・GL(06年)/ガイドライン
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0032/1/0032_G0000094_S0019299.html

泌尿紀要:51:575-580/2005年
5年PSA非再発率 pT2=84.8%  pT3=35.9%。
pT3では64%がPSA再発である。 

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