2011年5月5日木曜日

『MAB(ホルモン療法)で前立腺癌の転移を誘発促進させるネスチン』について


耐剤性として知られていた『抗アンドロゲン除去症候群 AWS』では投与された抗男性ホルモン剤に応答して結果的に癌細胞増殖を誘発しているのではないかという疑念があった。この問題は東京大学を主幹としたグループで糖タンパク『Wnt-5a』の異常的なプレゼンスを同増殖因子と実証する事に成功した。プレスの内容によるとサイズで1.5倍、細胞数では3倍の増殖である。(2011/3)

では抗ホルモン剤投与により転移能に異変は無いのかと言えばそうでも無く、ネスチン(nestin)と言われるタンパクがアンチアンドロゲンに対応し前立腺がんの全身転移を促している事実を明らかにしている。(ジョンズホプキンス大2007/10)

この発見はいまだ非常に予備的なものに過ぎず、前立腺癌患者や医師はこの療法を中止するべきでないと注意を促しているが、米国に於けるホルモン治療は本邦と異なり低リスクのPSA再発に対して積極的な治療は限定的であり、多くが既に転移を有している患者群に対しては延命的見地からも有効で、意義のある事に他論はない。

然しながら、Low riskのPSA再発の患者には、むしろ、延命を願って自殺を急ぐ結果になりかねなく、早期予測、早期治療の優位性は理解できるのだが、治療開始にはPSA値の判断と、他にも明確な臨床的エビデンスが必要ではないだろうか。


Abstract
Nestin  胎生期にある一過性に発現する神経幹細胞特異的分子。
①小細胞肺がん、乳がん、転移性前立腺癌などに顕著に発現している。
②ネスチンは前立腺癌ホルモン未治療の原発巣株組織には発現していなく、アンドロゲン枯渇などの治療で顕著に出現しだす。
③癌細胞株からネスチンをノックダウンさせれば、転移が1/5に減少。

Detail
In vivo での参考 『苛めると癌は怒る! は本当か?』
http://ina-takasi.blogspot.com/2011/04/psa-psa6.html

『前立腺癌の移動と転移における中間径フィラメントであるネスチンに関連した幹細胞の役割』
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/pubmed/index.php?page=article&storyid=200

『前立腺癌の標準治療は癌の転移を促進する可能性ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター* 2007年10月1日』
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/cancer_reference/index.php?page=article&storyid=189

前立腺癌における神経内分泌細胞の発現とその臨床的意義(京都府立医大)
進行前立腺通常型腺癌における神経内分泌腫瘍細胞の存在はホルモン療法にお
ける再燃の危険因子と考えられた。

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