2012年7月10日火曜日

ふりかけで癌が消えるお話し。(前立腺がん骨転移ではmiR16、miR34a)







2006年マウスの皮膚で、翌2007年ヒトの頬(ミューズ細胞?)から繊維芽細胞を作製することに成功した。これが世界で初のステムネスセル(幹細胞様人工細胞)で、京都大学・山中伸哉・教授らはiPS細胞と名前をつけた。原初の転写因子c-mycによるガン化はglis-1に置き換えることで安全性を確保はしたが、遺伝子を天然のベクターで導入するメソッドには限界があり、2010年ハーバード大学のDemick.j.Rossiらは合成mRNAを導入(非ウイスル性?)してヒトiPS細胞を樹立させ、尚且つ直接的に分化誘導させる事に成功した。
そして2011年『ダイレクト・リプログラミング』へと進化した。iPS細胞を介在させず直接に細胞を制御させる技術の確立である。
iPSではコミットメントされた細胞シートを貼り付けての治療であったが、リプロでは直接「患部に振りかけ」て治す創薬の開発である。
大阪大学・森正樹教授らは2011年5月、同技術で3種類のmiRNA(mir-200c,mir-302s,mir-369s)を人工合成して皮膚や脂肪細胞に振りかけて、非効率ではあるがiPS細胞の作製に成功し、この細胞に森チームらはmi-ips(ミップス)細胞と名付けた。
メッセンジャーRNAmRNA)からマイクロRNAmiRNA)に軸足を移した最初である。
同年同月、驚くべきことはスタンフォード大学が修復再生は不可能とされたヒト神経細胞をダイレクトに作製させた事実である。ASCL1など3種類のmiRNANeuroD1を加え、iPS細胞を経由させずダイレクトに皮膚細胞をニューロンに変えた。『ダイレクト・リプログラミング』への開始の成功である。
miRNAは癌の制御因子(核酸創薬)。
miRNA 1993 年にハーバードLee氏らの研究グループにより線虫遺伝子から発見されたが、当時、細胞内でmRNAに転写される際の副産物(ジャンク)での認識でしかなく、1998年になってmiRNAにサイレンシング(遺伝子の発現抑制)やmRNAを分解する機能があることをFire氏とMello氏の二人が発表した。この功績が認められ2006年に両氏はノーベル賞を受賞している。
ヒト全ゲノムの98%を占めるncRNAnon coding:タンパク遺伝子配列をもたない)領域に存在するmiRNAの研究は近年爆発的に加速されてきているが、細胞内の遺伝子発現抑制(翻訳阻害)分子であることが確認されたのがその理由で、疾病、特に癌との拘りが強く示唆されており、次世代のポスト抗体剤として核酸創薬(DDS:ドラッグ・デリバリーシステム:ナノキャリー)の開発が世界規模でなされている。
inaから
ズラズラと年代を追ったが、ゲノム解明の“スピード感”を感じてもらったに違いない。想像以上の時間軸で進展し、近未来でなく極近い先に我々はゲノム医療の現実を感じられると思う。
最近、mir-関連の論文がいやに目に付く。ニューロンでは“てんかん”や“アルツハイマー”“視神経” だろう。
大阪大学の『振りかけ治療』にはワラッタが、mir断片は小さいので振りかけですんなり細胞吸収するらしい。
狭心症の男性を足の細胞から作ったシートにより生還させたのも大阪大学の澤芳樹・教授Gだ。
クレナイ、ハンダイ、関西は熱い。  萌えている。(´ω`)

それにしてもアメリカの研究開発環境は日本と比較できないほど恵まれているよネ!!。



何年か先に、難病が治るとき(時代)はくるだろう。
大事なのはそれ迄、希望を捨てず、生きていることだ。



Note
分子標的剤:one drug one protein 癌特異的因子であるタンパクを標的。
核酸製剤:発ガンや増殖に関与する遺伝子のON/OFFを標的。miRNAではOFFのみ。薬物耐剤性無し。癌幹細胞をも死滅。
ナノキャリー:大きさが 4nm(腎臓排出最大限界)から400nm(異物体内排出最小限界)ないで血中安定循環できる薬剤の搬送システム。( 参考:ウイルス=100nm(ナノメートル) DNA=1nm タンパク=10nm  分子=0.1nm  細胞=10000nm )
核酸断片が数十DNA(RNA)では20nmぐらい。

参考文献