2014年7月31日木曜日

がん死亡のプロセスとチャート(直接死因とその発生):


死亡調査は人口動態等でも数多くあるが、その多くは法医学的調査(原死因統計)で、直接死因やそのメカニズムまでには至っていない。主には形態学的な剖検調査(retrospective)ではあるが、癌患者数の多い(70%)死因調査のデータから「がん患者」だけを対象に再集計したのが下のグラフである。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
原死因が癌(全ての癌死)の直接死因率では「呼吸不全」が最多の50%、「多臓器不全」が27%、末梢循環不全10%である。 他の医療機関の報告やスタディでも急性肺疾患/急性呼吸窮迫症候群(ALI/ARDS最進の医療を尽くしたとしても40%以上の死亡率で、その基礎疾患は「敗血症sepsis」が殆どと言われ、低酸素によるDICの合併に至らず死亡しています。が、しかし、ALI/ARDSに対応できる有効な薬物や治療法は現在も存在していません。
 
データから観察できる傾向として、消化器がんは出血性虚血から多臓器不全(27%)、その他の癌は敗血症を併発し呼吸不全(50%)で死亡する症例が多い。 肝臓・腎臓がんは臓器単発不全死との印象ではあるが多くは合併を招く。例えばDICでは最も早く且つ高頻度で腎不全を発症し、ARDSからは低酸素の為肝肺症候群や肝腎症候群を合併し易い(肝は心臓供給血液量の1/4が循環し、循環血が低酸素になると門脈血依存されるため)。
単発臓器不全による死亡率50%に対し複合臓器不全では88%の死亡率である。敗血症(sepsis)或いは全身性炎症反応症(SIRS)からの合併死亡例ではDIC75%、腎不全76%、肝不全78%、肺不全100%、消化管出血100%報告されている。(日消外会誌 15(1);74~77 1982年 「敗血症における多臓器不全」 札幌医科大)。
肝不全による全身性出血は肝細胞で産生される血液凝固因子が不足し、線溶因子(血栓溶解因子)が活性化するからと言われている。
そのフロー・チャートは下図。 
 

 
 


 
 
 
 
《がん直接死因とその発生 PDF》 の最終稿の複製文です
 
参考文献や引用元、癌種別はリンク先を参照して下さい。
 
 
 
 
 
 

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