2014年10月13日月曜日

PSAはイラナイ理由 (前立腺癌の死亡のほうが断然お得である)


1980年頃では死亡年齢と罹患年齢との間で顕著な差は無く、有症状での受診であった。早期発見すれば多くの患者の生命が助かるのではないかと考えだした泌尿器科医達は1936年に登場していた酸性フォスファターゼ(PAP)を諦め、1980年後半に米国で開発されたPSA2003年に本邦でも健保適応の認可をさせ、急速にその患者数を発掘しだした。が、しかし本邦ではその当時、1976年の男性の平均寿命は70歳位で、前立腺癌による平均死亡年齢は75歳、がんによる死亡年齢は平均寿命より上、つまり、驚く事により長寿であるにも拘ずにである。発病年齢が死亡者年齢を上回る年も出現しているのにも驚くが、お構いなくPSAを加速させた。当然、早期発見は患者の低年齢化を加速させる。が、減少して当然の死亡者数の増加傾向は止まない。 

その結果我々はどうなるのか?

より若年罹患者の増加は歯止めが掛からず、手術や放射線で若い世代から既に性的不能者や排尿障害者を大量に排出させる。が、高齢な死亡者は減少しない。この事実はPSAの無い時代からの死亡年齢特性でも理解できるだろう。癌による平均死亡年齢はPSAの無い時代から常に平均寿命と平行にあるからで、死亡は平均寿命と、或いは罹患年齢とディペンデント(dependent)な関係にあると言っていい。白血病や全部位がん、或いは肝癌の死亡特性をみれば理解出来るだろう。そして、そこにPSAや治療等による力学は介在しない、で無く生命の流れに対して無力であるからかも知れない。 

グラフの説明

1975年以前の罹患者の年齢データはないが、恐らく死亡年齢と絡み合っていたと推測される。もし、罹患者が前立腺癌で死亡するとしたら、男性の平均寿命より約3歳年長で死亡する事になる。これが前立腺癌のベースライン・リスクで、PSAなどの早期発見で罹患者の年齢が若年化しようが予想される死亡年齢は同じであって、リードタイム・バイアス(ゼロタイム・シフト)と言えるのかも知れない。もし早期発見により完全治癒して死亡するならば約3歳下の平均寿命での死亡である。   相対生存率を持ち出すならば100%以上となる ・・・バカゲタ話だ。



死亡者実数は増加の一方と言うけれど、80歳以下では横ばいか減少気味。80歳以上の死亡者の増加は、只、単に高齢者人口が増えているだけ。年齢調整グラフでは各年齢に渡り1996年頃から横ばいか減少傾向。年齢階級人口を同等比較した場合では決して増えていません。







PSAを無くして前立腺癌の死亡率を上げたほうがお得と言うお話でした。レトリックぽい話だけれど・・・。

「がん」と言われるより、不可避な老化現象の一つと言われたほうが飲み込み易い。




参考グラフ 


下のグラフは全部位がんによる平均死亡年齢と罹患年齢、対比として実測平均寿命、及びその員数推移をグラフ化した。1958年から2012年の間約54年分である。


注目したいのは、実測平均寿命と常に平行にある癌死亡年齢で、何時の世にもある最先端医療はスクリーニング、つまり早期発見は罹患者数の増加や低年齢化で成果をみられるが、最終的な目的である延命効果、つまり死亡年齢の引き上げ(高齢死現象)傾向はここ50年の期間見られていない。例え、患者の癌が完全寛解し他の死因で死亡したとしても、治療による死亡の高齢死傾向が現れるのが普通である。因みに実測平均寿命で癌死亡の影響を及ぼす割合は員数で3割弱である。 


死亡者数と罹患者数の乖離はその癌制御が良好な証拠と云う学者がいるが、例えば前立腺癌等では罹患者の低年齢化とともに罹患者数も増加している。そのような場合は過剰診断と言うほうが正解だろう。何故なら罹患年齢の低下とともに死亡年齢も下がらなくてはならない。肺がん等は死亡年齢と罹患年齢とは常に寄り添っているからだ。罹患者の低年齢化と罹患者数の増加は過剰診断と言える。







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